ドイツ語和訳では、通常の独和辞典には載っていない単語に毎日出会います。
工作機械メーカーのサイトに独英日の用語集が公開されていることもありますが、その分野専門の独英辞典でも見つからないこともあります。
そのようなときは、ドイツ語の造語法を理解した上で、既存の単語を組み合わせて意味を解釈してから、ふさわしい日本語表現を考えることになります。
参考書として2点紹介します。
1) 「ドイツ語文法シリーズ7 語彙・造語」、野入逸彦、太城桂子著、大学書林
2) 「造語法で増やすドイツ語ボキャブラリー」、森涼子著、白水社
今回はビール醸造法の特許明細書に出てきた複合語の Genussmilchsäure を紹介します(DE 10 2019 118 935 A1)。
このままでは独和辞典には載っていないので、Genuss + Milchsäure と分けて考えます。
まず、後半の名詞 Milchsäure は、普通の独和辞典にも載っていて「乳酸」です。
前半の Genuss を調べると、「味わうこと、飲食すること、賞味」とあります(小学館独和大辞典第2版)。
pH調整用に加える食品添加物ですので、仮に「食品用乳酸」と和訳してみます。
次に、この「食品用乳酸」で検索してみると、食品添加物の名称として使われていることが確認できました。
また、「食品グレード乳酸」も使われていますが、これは英語の edible-grade lactic acid 由来と思われます。
Genussmilchsäure よりは Milchsäure für Lebensmittel の方がわかりやすい「やさしいドイツ語」と思いますが、複合語にして1語で書く方がドイツ語らしいとも言えます。
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