数年前に、ドイツ語特許翻訳での誤訳が話題となりました。
酸の名称を「ホスホン酸」とすべきなのに、「燐酸(リン酸)」と誤訳した事例です。
この事例に関する文献は、例えば、以下を参照してください。
佐々木眞人、知財管理 Vol. 67 (7), p. 1087 (2017)
https://www.fukamipat.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2017/07/201707_chizaikanri.pdf
誤訳の原因は不明ですが、両方の酸の名称を並べてみると、つづりが似ていることが原因ではないかと思われます。
Phosphonsäure ホスホン酸 O=PH(OH)2
Phosphorsäure リン酸 O=P(OH)3
単語の中頃にある n を r に見間違えたのかもしれません。
これは人間翻訳に特有のエラーではないでしょうか。
CATツールや機械翻訳では、用語の登録が正しければ、このようなエラーは生じないと思います。
他にも似たつづりの単語は多いので、慎重に翻訳作業をしたいものです。